名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

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カテゴリ:ノーベル賞を考える の記事一覧

 私たちは日々、さまざまな技術の恩恵を受けながら暮らしている。しかし、それらがいったいどのようにして誕生したのか、そこにどんな創意や努力があったのか、思いをはせることはほとんどない。そして時折、例えばノーベル賞が、そこにたぐいまれな発見があったことを教えてくれる。身近なところでは、スマホなどのタッチパネルは、2000年のノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士らによる導電性高分子、つまり電気を通すプラスチックの開発が始まりだった。また、名古屋大学の赤﨑勇、天野浩・両特別教授による...

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 「多くを学ぶことができ、実り多い旅でした」。初めてのウズベキスタン訪問を終えた野依良治特別教授は9月1日、日本への乗り継ぎ便を待つ仁川空港でこう語った。名古屋大学への留学生らを通じた同国政府からの強い要望を受け、多忙なスケジュールの間を縫うようにして実現した訪問だった。ノーベル賞受賞者がウズベキスタンを訪れるのは初めてとあって、行く先々で大歓迎を受け、講演や若い研究者たちとの懇談、政府や教育関係の要人らとの会見などを休む間もなくこなした。 ウズベキスタンはかつて、世界的な学...

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 一連のノーベル賞の発表が終わった。2年続けて女性の受賞がなかったことから、物理学賞、化学賞、経済学賞の選考を担うスウェーデン王立科学アカデミーの事務局長は経済学賞発表後の記者会見で、来年以降の推薦依頼にあたっては、女性科学者を推薦するよう求めたいと話した。実際、ノーベル賞は1901年から今年までに923の個人・団体に贈られているが、女性受賞者は48人だけだ。科学関係の3賞ではさらにその数は限られ、最も多い医学・生理学賞でも214人中12人、化学賞は178人中4人、物理学賞は...

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2017年02月06日

ノーベル賞と大学

 昨年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典東京工業大学栄誉教授が賞金の1億円を寄付し、学生や若い研究者を支援するための基金が東工大に創設されたという発表が先月末にあった。近年ではきわめて珍しい単独受賞とあって、賞金額も大きい。東工大の学生たちにとっては大いに励みになることだろう。優れた研究者に金の心配をせずに研究に打ち込んでほしいというのが、当時の大学教授の給与の20年分もの巨額の賞金を遺言で定めたアルフレッド・ノーベルの思いだったようだが、それから100年余り、受賞者...

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著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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