名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

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カテゴリ:大学の在り方 の記事一覧

 松尾清一総長は1970年に入学して以来、米国留学や病院勤務の数年を除くと、ほぼ半世紀にわたって名古屋大学で過ごしてきた。医学部の学生から名大病院での教員、病院長、そして本部の産学官連携推進本部長、総長となり、大学との関わりが広がってきた。現在は政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の議員などとして、外から大学を見る立場でもある。名大を見る目はどう変わり、これからの名大像をどう描いているのか。                                 (聞き...

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 就活、すなわち就職活動が大学教育にいかに大きな影響を与えているか、改めて考えさせられた。きっかけは昨年12月に東京大学で行われた「工学系大学院の就職・採用活動を考える」公開シンポジウムでの名古屋大学工学研究科の川尻喜章教授の講演だ。このシンポジウムは、就活によって修士課程の学生の研究と教育に大きな支障が生じている現状への危機感から、旧7帝大に東工大を加えた8大学の工学部や工学研究科などが集まった八大学工学系連合会が開いた。会長は現在、名大工学研究科長の水谷法美教授が務めてい...

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 英語による授業だけで学位が取れる名古屋大学のグローバル30(G30)国際プログラムを担当する小田洋一名誉教授の予想は大きくはずれた。というより、うれしい大誤算だった。G30の英語の授業を一般の日本人学生にももっと受けてもらおうというプロジェクトの説明会を秋学期が始まる10月1日に開いた。いったいどれくらいの学生が集まるか、悲観的な見通しだったのだが、ふたを開けてみれば大盛況、2回開かれた説明会に合わせて約70人の学生が参加、用意した資料が全く足りず、大あわてでコピーすること...

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 博士といえば研究者、というイメージを抱く。だが、博士には研究をするだけではない、さまざまな役割がある。名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)を訪ね歩きながら、改めて感じたことだ。ITbMは分子をキーワードに異分野を融合させた研究を進め、大きな成果をあげていることを先に紹介した。そのユニークな研究活動は、直接研究をするわけではない博士たちの活躍あってこそ、であり、その意味で彼らは研究者と対等のパートナーなのである。  昨今盛んに報道されるように、博士を取り...

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 名古屋大学の人材育成の目標は「勇気ある知識人」である。この春の卒業式と入学式でも、松尾清一総長が祝辞の中でこの言葉を取り上げ、学生たちを激励した。「自由闊達」とともにさまざまな場面で語られるのを耳にする。名古屋大学を特徴付ける言葉と言っていい。「勇気ある知識人」とはいったい何か、そして、どのようにして登場したのだろうか。  私が最初にこの言葉を知ったのは2016年2月、東日本大震災から5年になるのを機にした取材で減災連携研究センターの鈴木康弘教授を訪ねたと...

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著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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