名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
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カテゴリ:女性の力を生かす の記事一覧

 名古屋大学東山キャンパスの南端、山手グリーンロード沿いに、木立に囲まれて大学らしからぬたたずまいを見せているのが名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリである。昨年11月に開館した。その名の通り、ジェンダー関係の書物を集め、研究や交流の拠点となることをめざしている。目玉の一つは、女性史研究のパイオニアである水田珠枝・名古屋経済大学名誉教授の蔵書約7000冊を収める「水田珠枝文庫」である。多くの人に利用してもらいたいとの思いから寄贈されたものだが、他ならぬ水田さん自身がこの...

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 3月末で定年退職した未来材料・システム研究所の楠美智子教授は、名古屋大学の工学系で唯一の女性教授だった。大学時代の恩師に「あなたはがむしゃらさが足りない」と言われたこともあり、「はっきりした意思を持って続けてきたというより、この分野が好きでなんとなく続けてきたという感じが強い」と振り返る。子育てのために2度、研究を離れた。しかし、その都度、請われて研究現場に戻ってきた。カーボンナノチューブやグラフェンなど炭素でできた新素材の研究で実績を重ね、民間の研究所から名古屋大学に転じ...

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 一連のノーベル賞の発表が終わった。2年続けて女性の受賞がなかったことから、物理学賞、化学賞、経済学賞の選考を担うスウェーデン王立科学アカデミーの事務局長は経済学賞発表後の記者会見で、来年以降の推薦依頼にあたっては、女性科学者を推薦するよう求めたいと話した。実際、ノーベル賞は1901年から今年までに923の個人・団体に贈られているが、女性受賞者は48人だけだ。科学関係の3賞ではさらにその数は限られ、最も多い医学・生理学賞でも214人中12人、化学賞は178人中4人、物理学賞は...

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 名古屋大学理学研究科では、30代半ばで教授に就任した女性2人が活躍している。全国を見渡しても、まず例のない若い女性教授だろう。そもそも男性でもこの年代で教授になることは珍しいが、名大では若くして教授になる例がある。職位にとらわれずに交流ができる自由な雰囲気に加え、「女性の名大」といわれるだけのさまざまな努力も背景にあるのだろうか。その中には、女性に限定した採用枠という思い切った手立てもあった。  女性限定の公募によって2011年に採用されたのは生命理学専攻の上川内あづさ教...

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 名大と言えば? 「ノーベル賞」かもしれないが、東京の知人たちからは「名大と言えば、アジア」、そして「名大と言えば、女性」という答えが返ってきた。後者はもっぱら女性からだったが、松尾清一総長が昨年、中国でインタビューを受けた際のテーマはノーベル賞と男女共同参画だったそうだ。名大の男女共同参画の取り組みは、国内外で名大の代名詞といえるほどに知られているようだ。  その名大の男女共同参画が今、一つの大きな節目を迎えている。まず、男女共同参画室が7月1日から男女共同参画センターに格...

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著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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