名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

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カテゴリ:人文社会学者が問いかける の記事一覧

2020年02月27日

AI時代がやってくる

 「A I研究をリードする世界のトップ研究所や大学のリストに日本は出てこない。日本の研究者の存在感も薄い。大学での若手研究者の育成と活躍をもっと進めなければ」。音声分野の情報処理研究で知られ、豊田工業大学シカゴ校の理事長を務める古井貞煕さんは、「米国から見た日本における人工知能の教育・研究」と題した特別講演でこう厳しく指摘した。1月末に開かれた名古屋大学情報学シンポジウム2020「人工知能技術がもたらす価値創造と情報学の使命」でのことだ。 一方、最後に登壇した情報学研究科の久...

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2019年07月31日

歴史を学ぶ意味

 宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウへの2度目の着陸に成功した。最初の着陸で岩石のサンプルが採取されたことが確実視されており、もし大きな失敗があって帰還できないようなことになれば、それも失うことになる。慎重論も出ていたなかでの見事な成功だ。「100点満点で言えば1000点」「太陽系の歴史のかけらを手に入れた」と記者会見での言葉もはずんだ。そんなはやぶさ2の活躍に胸を躍らせた人も多かったに違いない。 はやぶさ2の活躍に沸く様子を眺めながら、西洋...

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 「こんな本があった!」と題された展示が西尾市岩瀬文庫の企画展として開かれている。副題は「岩瀬文庫平成悉皆(しっかい)調査中間報告展16」である。漢字ばかりで一瞬戸惑うが、それを読み解いた説明によると、「平成12年度から継続している岩瀬文庫の全資料調査の過程で出逢った珍しい本や新たな発見などをいち早く紹介する、年度末恒例展示の第16弾」である。 岩瀬文庫は明治時代の地元の実業家、岩瀬弥助が集めた江戸時代を中心とする古書の図書館として、全国でも知る人ぞ知る存在だ。その8万冊に及...

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 名古屋大学東山キャンパスの南端、山手グリーンロード沿いに、木立に囲まれて大学らしからぬたたずまいを見せているのが名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリである。昨年11月に開館した。その名の通り、ジェンダー関係の書物を集め、研究や交流の拠点となることをめざしている。目玉の一つは、女性史研究のパイオニアである水田珠枝・名古屋経済大学名誉教授の蔵書約7000冊を収める「水田珠枝文庫」である。多くの人に利用してもらいたいとの思いから寄贈されたものだが、他ならぬ水田さん自身がこの...

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 ベトナムのハノイ法科大学でこの秋、日本語で日本法を学ぶ、名古屋大学日本法教育研究センターの10周年を祝う式典があった。希望者の多い人気コースだが、法学部の通常のカリキュラムと合わせて学ぶので学生にとっては負担も大きい。毎年200人以上の志願者の中から25人が選ばれ、卒業までこぎつけるのはそのうち10人前後と、入るのも出るのも狭き門である。これまでに71人が卒業し、22人が名大など日本の大学院に進んだほか、日本企業や大学、政府など様々な場所で日本とベトナムをつなぐ人材として活...

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著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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