名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

RSSを購読する

名古屋地区の書店、Amazonで販売中

2019年10月18日

モンゴルの新しい風

 ジャンチブ・ガルバドラッハさんは現在56歳、名古屋大学教育発達科学研究科の博士課程の学生だ。本職は、小中高一貫校や工科大学、高専など4校を傘下に抱えるモンゴルの私立学校、新モンゴル学園の理事長である。この学園は、東北大学の博士課程在学中だった19年前、モンゴルで日本式の教育を行いたいと自ら高校を創設したのが始まりだ。夢の実現を急ぎ、帰国するまで待ちきれなかったからだが、結果的に博士論文を書く余裕がなくなり、満期退学することになった。そして、実績を積み重ねてきた今、その経験を...

[続きを読む]

 「クルマは、認知科学の立場から見て興味が尽きません」。そう話すのは、名古屋大学情報学研究科の三輪和久教授だ。クルマはいうまでもなく、人間に移動の自由という大きな力をあたえる道具だ。それをごく当たり前のように運転しているが、実は、知覚、記憶、運動など高度の認知的能力を必要とする。そして、時に生命に関わるリスクもある。ウインカーを出すのは行動の前の予告に当たり、通常ではないことだ。つまり、クルマを操るということはかなり特別なことなのだが、運転するときにそういう意識を持つことはほ...

[続きを読む]

2019年08月28日

名古屋でクルマを学ぶ

 「名古屋大学での6週間のサマープログラムに参加し、自動車工学と日本文化の両方について素晴らしい体験ができました。日本へまだ行ったことがなければぜひ訪ねるようお勧めしたい。僕ももちろん、いつか再訪するつもりです」 米ミシガン大学工学部3年生のアシュイン・クリシュナ君は昨年夏、ある報告の手紙にこう書いた。しかし、そのわずか2ヶ月後、アシュイン君は再訪を果たすことなく、この世を去った。 手紙には、大学や企業の専門家に自動車の将来技術などについて講義を受け、名大では自動運転車も見る...

[続きを読む]

2019年07月31日

歴史を学ぶ意味

 宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウへの2度目の着陸に成功した。最初の着陸で岩石のサンプルが採取されたことが確実視されており、もし大きな失敗があって帰還できないようなことになれば、それも失うことになる。慎重論も出ていたなかでの見事な成功だ。「100点満点で言えば1000点」「太陽系の歴史のかけらを手に入れた」と記者会見での言葉もはずんだ。そんなはやぶさ2の活躍に胸を躍らせた人も多かったに違いない。 はやぶさ2の活躍に沸く様子を眺めながら、西洋...

[続きを読む]

 3Dプリンターは、デジタルデータから立体物を作り出す。プリンターと呼ばれるのは、印刷した面を積み重ねるようにして立体にするからだ。印刷のためのいわばインクを金属にすれば、従来の機械加工ではできないような複雑な形の金属部品もできることから、ものづくりに変革をもたらすと期待され、開発競争も過熱している。 そんな画期的な技術を最初に考案したのは小玉秀男さん、名古屋大学の卒業生である。卒業から40年余り、この夏、生徒として再びキャンパスに戻ってくる。理学部の「3D工房」講座に参加し...

[続きを読む]

著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

書籍のご案内

当コラムが文庫本になりました。
ご購入はこちらから
» 名大生協
» Amazon
» 取扱店

過去の記事一覧

タグ一覧

IUPAC イネ研究 ウズベキスタン クリル ジェンダー タイ トランプ政権 ノーベル賞 ピラミッド マレーシア ミューオン 世界トップレベル研究拠点プログラム (WPI) 勇気ある知識人 医療安全 博士人材 原子核乾板 名古屋大学出版会 国際交流 大学ランキング 大学博物館 女性枠 女性研究者 学術憲章 教育 新元素 日本語教育 次世代半導体 法学教育 法整備支援 法科大学院 減災 火山 炭素繊維 生命科学 異分野融合 社会科学 科学政策 窒化ガリウム 自動車工学 農学 重力波 防災 附属学校

» 掲載記事に関する免責事項

» トップページに戻る