名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

   思わず、聞き返した。「えっ、月命日ごとに法要、ですか?」 東日本大震災からちょうど6年に当たる3月11日の土曜日午後、名大東山キャンパスにある減災館でのギャラリートークでのことだ。この日のテーマは「愛知の歴史が語る人と震災」、講師は関東大震災など歴史的な地震の研究でも知られる地震学者の武村雅之教授だった。    どの地震の法要かといえば、今から120年以上も前、1891(明治21)年10月28日に起きた濃尾地震だ。地震の規模はマグニチュード8.0、内陸の...

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2017年03月10日

トランプ旋風と大学

 やはり、百聞は一見に如かず。温暖化を認めないなど科学に否定的な姿勢が伝えられているトランプ政権だが、米国の科学者たちの危機感がどれほどか、2月半ばにボストンで開かれた米科学振興協会(AAAS)の年次大会に参加し、ひしひしと感じることになった。急遽設定された緊急シンポジウムのテーマはずばり、「トランプ時代に科学とその健全性を守る」。会場は立ち見が出て、それでも入りきれない人たちが廊下にあふれた。翌日には、科学者たちが大会会場近くの広場で「科学のために立ち上がろう」「科学を守れ...

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 NHKの朝のニュースで1月31日、「日本の憲法を開発途上国へ」のタイトルで名古屋大学の法整備支援が取り上げられていた。全国ニュースで5分余り放映されたとあってその威力はさすがに大きく、東京の友人たちから早速、いくつか反響が届いた。その一つにはこうあった。「日本の国際貢献の一つとして実に有意義な取り組みだと改めて認識しました。アメリカは評判を落としまくり、こわもてな大国が幅を利かせる中、日本にはこうしたソフトな貢献がふさわしいのだと心底思います」。名大の法整備支援について私が...

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2017年02月06日

ノーベル賞と大学

 昨年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典東京工業大学栄誉教授が賞金の1億円を寄付し、学生や若い研究者を支援するための基金が東工大に創設されたという発表が先月末にあった。近年ではきわめて珍しい単独受賞とあって、賞金額も大きい。東工大の学生たちにとっては大いに励みになることだろう。優れた研究者に金の心配をせずに研究に打ち込んでほしいというのが、当時の大学教授の給与の20年分もの巨額の賞金を遺言で定めたアルフレッド・ノーベルの思いだったようだが、それから100年余り、受賞者...

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カテゴリ:ノーベル賞

2017年01月23日

はじめまして

 科学記者として長年仕事をした新聞社を離れ、昨年10月に名古屋大学に参りました。国際機構国際連携企画センターという組織に所属し、アジアを中心とした国際協力に関わるというのが第一のミッションですが、もう一つ、大学という場をじっくり定点観測し、その実情を外部に伝えていくのも重要な仕事になります。  これまでの科学記者としての仕事の少なからぬ部分は、そのときどきのテーマごとに、あちこちの大学の研究者を訪ね歩いて話を聞くことでした。今度は逆に、一つの大学に身を置き、そこで起きているさ...

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カテゴリ:自己紹介
著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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