名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

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 昨年秋、重力波を初めて観測した米国の研究者たちがノーベル物理学賞を受賞したというニュースは国内でも大きな話題になった。その米国チームから功労者として讃えられたのが東大宇宙線研究所の川村静児教授だ。岐阜県の神岡鉱山の地下で建設中の大型低温重力波観測装置「KAGRA(かぐら)」の主要メンバーでもある。KAGRAは初観測では米国に先を越されたものの、来年には観測を始め、これから本格化する重力波天文学の第一線に躍り出ようとしている。 KAGRAでインタビューを受けていた姿の記憶も新...

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 ベトナムのハノイ法科大学でこの秋、日本語で日本法を学ぶ、名古屋大学日本法教育研究センターの10周年を祝う式典があった。希望者の多い人気コースだが、法学部の通常のカリキュラムと合わせて学ぶので学生にとっては負担も大きい。毎年200人以上の志願者の中から25人が選ばれ、卒業までこぎつけるのはそのうち10人前後と、入るのも出るのも狭き門である。これまでに71人が卒業し、22人が名大など日本の大学院に進んだほか、日本企業や大学、政府など様々な場所で日本とベトナムをつなぐ人材として活...

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 世界大学ランキングに注目が集まっている。この秋の発表では、国内トップの東大は前年の39位から46位へと順位を下げ、新聞各紙には「過去最低」という見出しが躍った。10年前は17位、アジアでは首位だったが、今回はシンガポールや中国、香港の5大学に続く6位にとどまった。次の京大は91位から順位を上げて74位、続く阪大、東北大は201-250位、東工大251-300位、名大301-350位という結果だった。ちなみに、名大も10年前は国内では今回同様6位、世界112位だった。日本の大...

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 ピラミッドの中に大きな空間を発見したという名古屋大学の研究発表は、世界的な大ニュースとなり、耳目を集めた。その話をさらに聞くうち、ピラミッドに負けず劣らず興味をそそられたのは、発見に使われた原子核乾板をめぐる過去から未来に至るストーリーである。原子核乾板といっても、今や薄いプラスチックの、いってみれば写真のフィルムである。研究の世界では、カミオカンデに代表されるような、とらえた信号を電気に変換してリアルタイムで検出するデジタルのシステムが主流となり、原子核乾板は使われなくな...

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 電気自動車(EV)に自動運転、将来の車のあり方をめぐる話を聞かない日はない。「狂騒曲」とまで言われるほどの過熱ぶりである。何がどう広がっていくのか、どこの誰がリードすることになるのか、その行方はまだ混沌としているが、車というものが大きく変わり、引いては自動車産業の姿も一変しかねない。競争は激しく、関心も集まるゆえんだ。 そうした中、名大で行われたある発表を聞いて、将来の車がどういう形になるにせよ、必要とされる技術があることに気づかされた。車体をできるだけ軽く作る材料である。...

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著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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