名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

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カテゴリ:新しい工学を求めて の記事一覧

 就活、すなわち就職活動が大学教育にいかに大きな影響を与えているか、改めて考えさせられた。きっかけは昨年12月に東京大学で行われた「工学系大学院の就職・採用活動を考える」公開シンポジウムでの名古屋大学工学研究科の川尻喜章教授の講演だ。このシンポジウムは、就活によって修士課程の学生の研究と教育に大きな支障が生じている現状への危機感から、旧7帝大に東工大を加えた8大学の工学部や工学研究科などが集まった八大学工学系連合会が開いた。会長は現在、名大工学研究科長の水谷法美教授が務めてい...

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 IEEE(アイ・トリプル・イー)は、160カ国以上に42万人の会員を抱え、技術の世界では知らない人のいない、世界最大の学会である。電気電子学会(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)の頭文字をとったものだが、今や電気工学と電子工学を大きく超え、コンピューター科学から物理学、バイオなども含むため、この略称が正式名称として使われている。米国に本部があり、おなじみのWiFiを始めとするさまざまな規格...

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2018年11月22日

台風の目に飛び込む

 日本列島に大きな爪痕を残して、今年の台風シーズンがやっと終わった。台風をめぐる多くのニュースの中で目に止まったのが、名古屋大学のチームが航空機で台風の目に飛び込んで観測したというニュースだった。航空機による台風観測はかつて、米軍によって行われていたが、1987年に終了した。1977年には気象衛星ひまわりが打ち上げられており、米軍機による観測が終わるまでの10年間、航空機による観測と衛星による宇宙からの観測の両方が行われていた。つまり、台風観測史上、最も手厚い態勢が敷かれてい...

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 エレクトロニクスで世界を変える。名古屋大学未来材料・システム研究所の天野浩教授が掲げるこの目標に向けて、世界でも例のない大規模な実験施設が名大東山キャンパスの一角に完成した。天野さんが赤﨑勇・特別教授とともに開発した青色発光ダイオード(LED)は世界の照明に革命をもたらし、ノーベル賞を受賞したが、その材料である窒化ガリウム(GaN)にはさらに大きな可能性がある。誰もが快適で安全に暮らせる「超スマート社会」実現に欠かせない、高性能で消費電力の少ない次世代半導体材料の有力候補な...

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 名古屋大学でトランスフォーマティブといえば、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)のトランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)が頭に浮かぶだろう。そこにもう一つの「トランスフォーマティブ」が名乗りをあげた。青色発光ダイオード(LED)で2014年のノーベル物理学賞を受賞した、名古屋大学未来材料・システム研究所の天野浩教授が掲げる「トランスフォーマティブエレクトロニクス」である。「トランスフォーマティブ」は、「世界を変える」といった意味で、ITbMは「分子で世界を...

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著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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