名大ウォッチ

新聞社で長く科学報道に携わってきたジャーナリストが、学内を歩きながら、
大学の今を自由な立場で綴っていきます。

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カテゴリ:未知への挑戦 の記事一覧

 博士といえば研究者、というイメージを抱く。だが、博士には研究をするだけではない、さまざまな役割がある。名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)を訪ね歩きながら、改めて感じたことだ。ITbMは分子をキーワードに異分野を融合させた研究を進め、大きな成果をあげていることを先に紹介した。そのユニークな研究活動は、直接研究をするわけではない博士たちの活躍あってこそ、であり、その意味で彼らは研究者と対等のパートナーなのである。  昨今盛んに報道されるように、博士を取り...

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 名古屋大学でトランスフォーマティブといえば、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)のトランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)が頭に浮かぶだろう。そこにもう一つの「トランスフォーマティブ」が名乗りをあげた。青色発光ダイオード(LED)で2014年のノーベル物理学賞を受賞した、名古屋大学未来材料・システム研究所の天野浩教授が掲げる「トランスフォーマティブエレクトロニクス」である。「トランスフォーマティブ」は、「世界を変える」といった意味で、ITbMは「分子で世界を...

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 「異分野融合」が言われるが、現実にはそう簡単なことではない。専門の違う研究者を一箇所に集めれば進むというわけでは決してない。名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)は、その異分野融合の稀有な成功例ではないだろうか。文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の一つで、現在ある9拠点の中では先発組から5年遅れの2013年にスタートした。予算規模も半分の末っ子だったが、すでにいくつもの大きな研究成果をあげ、トップレベルの高評価を受けている。春からは...

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 昨年秋、重力波を初めて観測した米国の研究者たちがノーベル物理学賞を受賞したというニュースは国内でも大きな話題になった。その米国チームから功労者として讃えられたのが東大宇宙線研究所の川村静児教授だ。岐阜県の神岡鉱山の地下で建設中の大型低温重力波観測装置「KAGRA(かぐら)」の主要メンバーでもある。KAGRAは初観測では米国に先を越されたものの、来年には観測を始め、これから本格化する重力波天文学の第一線に躍り出ようとしている。 KAGRAでインタビューを受けていた姿の記憶も新...

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 ピラミッドの中に大きな空間を発見したという名古屋大学の研究発表は、世界的な大ニュースとなり、耳目を集めた。その話をさらに聞くうち、ピラミッドに負けず劣らず興味をそそられたのは、発見に使われた原子核乾板をめぐる過去から未来に至るストーリーである。原子核乾板といっても、今や薄いプラスチックの、いってみれば写真のフィルムである。研究の世界では、カミオカンデに代表されるような、とらえた信号を電気に変換してリアルタイムで検出するデジタルのシステムが主流となり、原子核乾板は使われなくな...

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著者

辻 篤子(つじ あつこ)

1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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